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解雇と雇い止めの本

その通告に、ルールはある

解雇の決まり、試用期間の扱い、有期契約の雇い止めの仕組み。

第1章

解雇には、どんな決まりがある?

解雇には「理由」と「手続き」の2つの決まりがあります。法律の言葉と、厚労省の説明を並べます。

この章の要点
  • 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合、権利の濫用として無効(労働契約法16条)。
  • 解雇には少なくとも30日前の予告、または30日分以上の平均賃金(労働基準法20条)。
  • 解雇予告の日から退職日までの間に請求すれば、解雇理由の証明書が遅滞なく交付される(労働基準法22条2項)。

先に結論

解雇には、大きく分けて「理由」の決まりと「手続き」の決まりがあります。理由の決まりは労働契約法、手続きの決まりは労働基準法にあります。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、権利を濫用したものとして無効になります。

理由の決まり(労働契約法16条)

労働契約法第16条は、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、権利を濫用したものとして無効になると定めています。

この条文は、どの解雇が有効かを一覧で示すものではありません。個々の事情に当てはめて判断されるもので、最終的には裁判所が判断します。厚労省の説明でも、1回の出来事ですぐに解雇が認められるわけではないとされています。

手続きの決まり(労働基準法20条)

解雇するときは、少なくとも30日前に予告する必要があります。予告しない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。予告の日数は、1日につき平均賃金を支払えば短くできます。

30日に満たない予告なら、不足する日数分の平均賃金を支払う決まりです。厚労省の例では、10日前の予告なら20日分になります。

例外天災事変などで事業を続けられない場合や、労働者の責めに帰すべき事由による場合は、予告が要りません。ただし、その認定には所轄の労働基準監督署長の「解雇予告除外認定」が必要です。
法律で禁止される期間厚労省は、業務上のけがや病気の療養中とその後30日間、産前産後の休業中とその後30日間などを、解雇が法律で禁止される例として挙げています。

理由の証明書を請求する

解雇の予告を受けた後は、退職日までの間に請求すれば、解雇理由の証明書が遅滞なく交付されます(労働基準法22条2項)。証明書には、労働者が請求していない事項を書いてはなりません。

  • 言われたのは「いつ付けで辞めてほしい」か。予告の日から日数を数えたか
  • 予告が30日に満たないとき、不足分の予告手当の話が出ているか
  • 解雇の理由を、書面(解雇理由証明書)で請求したか
  • 業務上のけが・病気の療養中や、産前産後の休業中ではないか
  • 就業規則に、解雇の事由が書いてあるか

相談できる窓口

労働契約をめぐる問題は、各都道府県労働局の個別労働紛争の相談が使えます。総合労働相談コーナーは無料・予約不要で、解雇や雇止めなどの相談ができます。労働局・労働基準監督署内に設けられていて、土日祝日と12月29日から1月3日は閉庁します。

ここに書いたのは法律の仕組みの説明で、法律の助言ではありません。ご自身の場合の扱いは、総合労働相談コーナーや労働基準監督署、会社の就業規則で確かめてください。

第2章

試用期間でも、解雇の決まりは同じ?

試用期間でも「労働契約」は始まっています。14日という数字が出てくる場所と、そうでない場所を分けて読みます。

この章の要点
  • 試用期間中の者は解雇予告の規定(20条)の適用除外だが、14日を超えて引き続き使用されると予告等が必要(労働基準法21条4号)。
  • 試用期間は「解約権が留保された」期間と解され、本採用拒否は客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要。
  • 適性判断に必要な合理的な期間を超える長すぎる試用期間は、無効になりうる(裁判例解説)。

先に結論

試用期間でも、労働契約は始まっています。解雇や本採用拒否の決まりが、まったく別になるわけではありません。

試用期間中の者には解雇予告の規定が適用されませんが、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、適用されます。

14日という数字が出てくる場所

労働基準法第21条第4号は、試の使用期間中の者について、解雇予告の規定(20条)を適用しないと定めています。ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、この例外は当てはまらず、予告などが必要になります。

厚労省の「確かめよう労働条件」のQ&Aも、試用期間中の者(14日間)は予告なし・手当なしで解雇できる例外として挙げています。そのうえで、14日を超えて使用されれば予告などが必要になると説明しています。

注意21条は、解雇予告の規定の例外です。解雇の理由が合理的かどうかの話(労働契約法16条)とは別の決まりです。「14日以内なら自由に辞めさせられる」と読むことはできません。また、21条には日日雇い入れられる者などの別の期間もあります。

試用期間と本採用の決まり

裁判例の解説では、試用期間を設けた趣旨が適性の評価にあれば、特段の事情がない限り、試用期間は「解約権が留保された」ものと解されます。

試用期間中の解約権の行使は、通常の場合より広く認められます。ただし、その趣旨や目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られます。

適性の判断に必要な合理的な期間を超える長い試用期間は、公序良俗に反し、その限りで無効とされた裁判例もあります。

裁判例の名前公式ページに出ている例として、神戸弘稜学園事件(最高裁第三小法廷 平成2年6月5日)、ブラザー工業事件(名古屋地裁 昭和59年3月23日)があります。

読んでから確かめること

  • 採用日(試用期間の開始日)はいつか。何日目に言われたか
  • 労働条件通知書・契約書に、試用期間の長さと本採用の条件が書いてあるか
  • 言われた理由を、書面で請求したか
  • 就業規則に、試用期間と本採用拒否の定めがあるか

相談できる窓口

試用期間をめぐる問題も、各都道府県労働局の個別労働紛争の相談や、総合労働相談コーナーで相談できます。ここに書いたのは法律の仕組みの説明で、法律の助言ではありません。ご自身の場合の扱いは、窓口や労働基準監督署、会社の就業規則で確かめてください。

第3章

雇い止めって、何?

期間が決まった契約が、更新されずに終わること。更新されるはずと思える事情があるときの決まりと、5年を超えたときの決まりがあります。

この章の要点
  • 反復更新や更新への合理的な期待がある場合、更新を拒むには客観的合理的理由と社会通念上の相当性が要る(労働契約法19条)。
  • 3回以上更新、または1年を超えて継続勤務している有期契約を更新しないときは、満了の30日前までに予告が必要(厚労省告示。更新しない旨の明示がある場合は除く)。
  • 同じ使用者との有期契約が通算5年を超えたとき、期間の末日までに申し込めば無期の契約に転換する(労働契約法18条)。

先に結論

雇い止めとは、期間の決まった有期労働契約が、更新されずに期間の満了で終わることです。法律には、更新されると考えられる事情があるときの決まりと、通算5年を超えたときの決まりがあります。

同じ使用者との有期契約が通算5年を超えたときは、現在の契約期間の満了日までに申し込めば、無期の労働契約に転換できます。

更新への期待がある場合(労働契約法19条)

契約が反復して更新され、期間の定めのない契約と社会通念上同じといえる場合や、更新を期待することに合理的な理由がある場合があります。こうした場合に労働者が更新を申し込んだとき、使用者がそれを拒むことに客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められなければ、従前と同一の条件で承諾したものとみなされます。

予告・証明書・更新上限(厚労省の告示)

厚労省の告示(平成15年厚労告357号)は、3回以上更新されているか、雇入れから1年を超えて継続勤務している有期契約を更新しないときは、期間満了の30日前までに予告するよう定めています。あらかじめ更新しない旨を明示している場合は除かれます。

労働者が請求したときは、更新しない理由の証明書を遅滞なく交付します。更新上限(通算期間・更新回数)を新たに設けたり引き下げたりするときは、事前に理由を説明する決まりがあります(令和5年3月30日改正、令和6年4月1日適用)。

注意期間の途中で解雇する場合は、労働契約法17条により、やむを得ない事由がある場合に限られます。また、更新上限を一方的に決めても、雇い止めが許されない場合があります。

無期転換の申込み(労働契約法18条)

平成25年(2013年)4月1日以降に始まった有期契約が対象です。契約期間が1年なら5回目の更新後の1年間、3年なら1回目の更新後の3年間に、申込みの権利が生じます。申込みがあると無期の契約が成立し、使用者は拒めません。

空白期間が6か月以上あると、その前の期間は通算されません。2024年4月1日からは、労働条件を明示する項目に、無期転換ルールに関する事項が加わっています。

注意無期転換を避ける目的で、申込権が生じる前に雇い止めをすることは、18条の趣旨から望ましくないとされています。高度専門職や定年後の継続雇用の高齢者には、無期転換の特例がある場合があります。

読んでから確かめること

  • 契約書に「更新の有無」「更新の判断基準」「更新上限」が書いてあるか
  • これまでの更新回数と、通算の契約期間(5年を超えたか)
  • 契約満了の30日前までに、更新しない旨の予告があったか
  • 更新しない理由を、書面で請求したか
  • 無期転換の申込みは、現在の契約期間の末日までに行う必要がある

相談できる窓口

雇い止めについては、各都道府県労働局の個別労働紛争の相談や、総合労働相談コーナーで相談できます。無期転換については、厚労省の無期転換ポータルで制度を確かめられます。

ここに書いたのは法律の仕組みの説明で、法律の助言ではありません。ご自身の契約がどの決まりに当たるかは、労働局や総合労働相談コーナー、契約書、会社の就業規則で確かめてください。

体験談や口コミではなく、法令などの公開情報と一般的な進め方をもとに書いています。サービスの内容は変わることがあるので、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。

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