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労働組合の本

ひとりでは、決めない

労働組合を守る法律、団体交渉と労働協約、36協定の過半数代表者。

第1章

労働組合は、法律でどう守られている?

労働者が集まって会社と交渉する権利は、憲法と法律に書かれています。何が保障され、何が禁じられているかを読みます。

この章の要点
  • 憲法28条は、団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)を保障している。
  • 労働組合は2人以上の労働者で自由に作れ、国の許可や登録は要らない。
  • 使用者は、組合員であることなどを理由とした不利益な扱いや、正当な理由のない団体交渉の拒否を禁じられている(労働組合法7条)。

先に結論

労働組合は、憲法28条で団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)の3つが保障されています。組合は2人以上の労働者で自由に作ることができ、国の許可や登録は要りません。一方、会社が組合員であることなどを理由に不利益な扱いをすることは、労働組合法で禁じられています。

組合を作るのに許可は要らず、会社による組合への不利益な扱いは法律で禁じられています。

3つの権利は何を指す?

団結権は、組合を結成する権利です。団体交渉権は、組合が会社と労働条件について話し合う権利です。団体行動権は、団体で行動する権利で、争議権ともいわれます。

厚生労働省のページでは、労働組合は労働者が自主的に労働条件の維持改善や経済的地位の向上を図るために組織する団体と説明されています。日本の組合の多くは、企業ごとに作られる企業別の組合です。

同じページには、2024年6月時点で組合数が約2万3千、組合員数が約991万人(うちパート約146万人)とあります。時点が古くなっている場合があるので、最新の数字は厚生労働省のページで確かめてください。

組合を作るには?

労働組合は、2人以上の労働者が集まれば自由に結成できます。政府の承認や登録は必要ありません。組合の規約で、加入できる範囲や組合費の額・使い道が決められているかを確かめると、組合の仕組みが読みやすくなります。

会社に禁じられていること

労働組合法7条は、使用者が行ってはならない行為(不当労働行為)を定めています。主なものは次のとおりです。

  • 組合員であること、組合に加入しようとしたこと、組合活動をしたことを理由に、解雇などの不利益な扱いをすること
  • 組合に加入しないことや脱退することを、雇用の条件にすること(一定の協定がある場合の例外あり)
  • 使用者が雇う労働者の代表者との団体交渉を、正当な理由なく拒むこと
  • 組合の結成や運営に口を出すこと(支配介入)、組合の経費を援助すること(最小限の事務所の提供など一部の例外あり)
  • 労働委員会への申立てや証拠の提出、発言をしたことを理由に、不利益に扱うこと
注意

どの行為が不当労働行為にあたるかは、個別の事情で変わります。例外や但書もあるため、このページは条文の仕組みの説明にとどめます。ある会社の対応が不当かどうかは、このページでは判断しません。

確かめること

  • 自分の会社に組合があるか。社内の規約、掲示、労働条件通知書で確かめる
  • 組合の規約に、加入できる範囲(正社員のみか、パートも含むかなど)が書かれているか
  • 組合費の額と使い道が、規約に書かれているか

この説明は法律の助言ではなく、仕組みの説明です。具体的な相談は、会社の就業規則を確かめたうえで、労働委員会などの窓口で確かめてください。

第2章

団体交渉と労働協約は、どう決まる?

組合が会社に交渉を申し入れたとき会社に求められること、まとまった結果が「労働協約」としてどんな力を持つかを読みます。

この章の要点
  • 使用者は、正当な理由なく団体交渉を拒むことを禁じられている(労働組合法7条2号)。
  • 労働協約は書面にし、両当事者が署名または記名押印して初めて効力が生じる(労働組合法14条)。
  • 労働協約の有効期間は3年が上限。期間の定めのない協約は、文書で90日前までに予告すれば解約できる(労働組合法15条)。

先に結論

会社は、正当な理由なく団体交渉を拒むことを禁じられています。交渉の結果が文書にまとまったものを労働協約といい、書面にして両方が署名または記名押印すると効力が生じます。

団体交渉を正当な理由なく拒むことは禁じられ、労働協約は書面と署名または記名押印で効力が生じます。

団体交渉を拒むと、どうなる?

労働組合法7条では、使用者が雇う労働者の代表者との団体交渉を正当な理由なく拒むことが、不当労働行為の一つとされています。不当労働行為は、労働委員会に救済を申し立てることができます。

会社が組合の要求をすべて受け入れる義務があるわけではありません。法律が禁じているのは、正当な理由のない拒否です。どこまでが正当かは個別の事情で判断されるため、このページでは断定しません。

労働協約の効力

労働組合法14条では、労働条件などに関する労働協約は、書面にし、両方の当事者が署名または記名押印することで効力が生じるとされています。

有効期間と解約

労働組合法15条では、労働協約の有効期間は3年を超えられず、3年を超えて定めても3年とみなされます。期間の定めがない協約は、一方の当事者が署名または記名押印した文書で相手方に予告すれば解約できます。期間が過ぎても効力が続く協約も、同じ形で解約できます。

有効期間3年が上限(超えて定めても3年とみなされる)
期間の定めがない協約文書で予告して解約できる
予告の時期解約しようとする日の少なくとも90日前まで

確かめること

  • 労働協約があれば、会社が従業員に掲示や周知をしているか
  • 協約の有効期間と、更新や解約の条項
  • 話し合いの申入れと回答を、日付つきの書面で残しているか

困ったときは

労働委員会は、公益・労働者・使用者それぞれの側の委員で構成される三者構成の機関です。不当労働行為事件の審査や、労働争議のあっせん・調停・仲裁などを行います。

注意

申立ての時期や手続きは、このページでは扱っていません。労働委員会の窓口で直接確かめてください。このページは仕組みの説明で、法律の助言ではありません。

第3章

36協定のとき、「過半数代表」って誰?

残業の上限を超えて働かせるには、会社と労働者側が書面で協定を結びます。労働者側の相手は組合か「過半数代表者」。選び方に決まりがあります。

この章の要点
  • 時間外・休日労働には、過半数組合(なければ過半数代表者)との書面の協定と届出が必要(労働基準法36条1項)。
  • 過半数代表者は、管理監督者でなく、協定を結ぶ者を選ぶと明らかにしたうえで民主的な手続で選ばれ、使用者の意向で選ばれていないこと(労働基準法施行規則6条の2第1項)。
  • 厚生労働省のQ&Aは、これらを満たさない36協定は無効と説明している。

先に結論

法定の労働時間や休日を超えて働かせるには、会社が労働者側と書面の協定(36協定)を結び、行政官庁に届け出ることが必要とされています。労働者側の相手は、事業場の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合、なければ労働者の過半数を代表する者です。

過半数代表者は、民主的な手続で選ばれ、使用者の意向によらずに選ばれている必要があります。

過半数代表者の3つの要件

厚生労働省のQ&Aでは、過半数代表者は次の要件を満たす必要があるとされています。この要件は、2019年(平成31年)4月1日施行の労働基準法施行規則の改正に基づくものです。

  • 管理監督者でないこと
  • 協定を結ぶ者を選ぶことを明らかにして、投票や挙手などの民主的な手続で選ばれること
  • 使用者の意向に基づいて選ばれたものでないこと

Q&Aは、使用者が指名した者や、親睦会の幹事を自動的に代表とした場合などは要件を満たさず、その36協定は無効になると説明しています。

パート・アルバイトも対象

Q&Aによると、過半数代表者を選ぶ手続には、パートやアルバイトを含むすべての労働者が参加できる必要があります。会社は、代表者が職務を円滑に行えるよう、社内のイントラネットや事務スペースの提供など必要な配慮をすることが求められています。

協定の中身で見ること

36協定には、対象となる労働者の範囲、対象期間、時間外や休日労働をさせる必要のある具体的な事由などを定めることになっています。対象期間は1年間に限られます。

上限の数字は、制度や業種による例外もあるため、このページでは扱いません。条文と厚生労働省のページで、ご自身の場合の決まりを確かめてください。

確かめること

  • 職場に36協定が掲示・周知されているか(周知の義務については、この本では確かめていません)
  • 自分が代表者を選ぶ手続に参加したか。誰が、どのように選ばれたか
  • 協定の対象期間と、月・年の上限が書かれているか
注意

この説明は仕組みの解説で、特定の会社の協定が有効か無効かを判断するものではありません。個別の事情は、会社の就業規則や、厚生労働省のページで確かめてください。

体験談や口コミではなく、法令などの公開情報と一般的な進め方をもとに書いています。サービスの内容は変わることがあるので、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。

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