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給与明細の本

明細の、行間を読む

給与明細で引かれる社会保険料と税金、年末調整、源泉徴収票の読み方。

第1章

給与明細で、何が引かれている?

給与明細で引かれるものには、それぞれ根拠となる仕組みがある。まず名前と決め方を知る。

この章の要点
  • 社会保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて計算し、従業員分は会社が給与から差し引く。
  • 雇用保険料は労働者と事業主で率が違う。所得税は源泉徴収、住民税は特別徴収。
  • 率は年度や地域で変わるものと、変わらないものがある。数字は年度つきで読む。

先に結論

給与から引かれるおもな項目は、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税です。社会保険料と雇用保険料は料率をもとに計算され、所得税は源泉徴収、住民税は特別徴収として会社が差し引きます。

料率は年度や地域で変わるものと、変わらないものがあります。数字は年度つきで読みます。

社会保険料(厚生年金・健康保険・介護・子ども支援金)

健康保険料と厚生年金保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。従業員の分は、会社が給与から差し引きます。厚生年金の従業員負担分は「標準報酬月額×保険料率÷2」で、賞与の場合は標準賞与額に料率を掛けた額の半分を賞与から控除します。

厚生年金保険料率は18.3%です。平成29年9月に引上げが終わり、日本年金機構の料額表で示されています。

健康保険料率は、協会けんぽの場合は都道府県ごとに異なります。令和8年度の東京都は9.85%です(令和7年度は9.91%)。健康保険組合に入っている人は、協会けんぽの率は当てはまりません。

項目率(出典の年度・地域)率の出どころ
厚生年金保険料18.3%(固定)日本年金機構 厚生年金保険料額表
健康保険料東京都 9.85%(令和8年度・協会けんぽ)協会けんぽ 都道府県単位保険料率
介護保険料1.62%(40〜64歳・令和8年度・全国一律)同上

子ども・子育て支援金の率は、令和8年度で全国一律の0.23%です。令和8年4月分(5月納付分)から適用されます。健康保険・介護保険は令和8年3月分(4月納付分)から適用されます。

雇用保険料

雇用保険料は、労働者と事業主で率が違います。令和8年度の一般の事業では、労働者負担が1,000分の5、事業主負担が1,000分の8.5です。期間は2026年4月1日から2027年3月31日までです。事業主負担の8.5は、失業等給付等の5と二事業の3.5に分かれます。

農林水産・清酒製造の事業と建設の事業は、ほかの率が定められています。自分の業種がどれに当たるかは、ハローワークの資料で確かめてください。

所得税と住民税

所得税は、会社が給与を払うときに源泉徴収し、国に納めます。復興特別所得税を含みます。

住民税は、地方税法により、所得税を源泉徴収している事業主が従業員の分を特別徴収する仕組みです。税額は市区町村が前年の所得をもとに計算します。5月31日までに「特別徴収税額決定通知書」が届き、6月から翌年5月まで毎月の給与から差し引かれます。差し引いた税金は翌月10日までに納めます。

住民税は前年の所得で決まり、6月から翌年5月まで毎月差し引かれます。

注意この章の率は、令和8年度・東京都・協会けんぽなど、出典に書かれた年度と地域の数字です。ほかの年度や地域、健康保険組合の率とは違うことがあります。

明細で確かめること

  • 健康保険料が、加入先(協会けんぽか健康保険組合か)の料率と合っているか
  • 40歳以上なら、介護保険料の欄があるか
  • 雇用保険料が、その年度の労働者負担の率と合っているか
  • 住民税は6月から金額が変わることを知っているか
  • 明細に書かれた年度と支給月(何月分か)

この章は仕組みの説明で、個別の金額の計算や、手取りの試算は扱いません。料率や適用の確認は、勤務先の総務担当、協会けんぽ、日本年金機構、市区町村の窓口や公式ページで行ってください。

第2章

年末調整は、何をしている?

毎月ざっくり引いた所得税を、年の終わりに本当の額へ合わせる手続き。

この章の要点
  • 年末調整は、1年間に源泉徴収した所得税の合計と、その年に納めるべき税額を一致させる手続き。
  • 対象は扶養控除等(異動)申告書を出している人。年間の給与支払額が2,000万円を超える人は対象外。
  • 会社は所得控除を引き、税率を当て、税額を出して、還付か徴収をする。

先に結論

年末調整は、1年間に給与から源泉徴収した所得税・復興特別所得税の合計と、実際に納めるべき税額を一致させる手続きです。毎月の給与から引いた税金の合計を、年の終わりに会社が精算します。

年末調整は、年間の源泉徴収税額と年税額を一致させる手続きです。

対象になる人

対象は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を出している人です。給与の年間支払額が2,000万円を超える人は対象外です。

12月まで勤めている人が基本です。年の途中で退職した人は、死亡、海外転勤で非居住者になった場合、著しい心身の障害がある場合、12月の給与を払った後の退職など、限られた場合だけ対象になります。年間の給与が136万円以下のパートの退職も含まれます(令和8年4月1日現在の国税庁の記載)。

年の途中で就職した人は、前の勤め先の源泉徴収票が必要です。給与額、源泉徴収税額、社会保険料の額が確認できる票です。確認できなければ会社は年末調整をできず、本人が確定申告をすることになります。

会社が計算する流れ

  1. 1年間の給与の合計から、給与所得控除後の金額を求める
  2. そこから所得控除を差し引く
  3. 残りの額(1,000円未満切捨て)に税率を当てる
  4. 住宅借入金等特別控除があれば、差し引く
  5. 税額に102.1%を掛け、100円未満を切り捨てる
  6. 源泉徴収した合計と比べ、多ければ還付、少なければ徴収する

従業員が出す書類

  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書など(該当する人だけ)

提出の期限は、勤務先ごとに決まります。国税庁の資料では日付を確認できていないため、社内の案内で確かめてください。

注意令和8年分は、年分によって扱いが細かく分かれています。書類や控除の扱いは、「令和8年分 年末調整のしかた」で年分を確かめてください。
令和9年分から令和9年分以後は、防衛特別所得税も源泉徴収の対象に加わります。

明細で確かめること

  • 勤め先に扶養控除等申告書を出したか
  • 今年の途中で転職したなら、前の勤め先の源泉徴収票を渡したか
  • 保険料控除の申告書に、証明書の添付や電子データが必要か
  • 提出期限を、勤務先の案内で確かめたか

この章は仕組みの説明で、個別の税額や還付の見込みは扱いません。2,000万円を超える場合など、年末調整で完結しないケースは、国税庁の資料か税務署で確かめてください。

第3章

源泉徴収票は、どう読む?

一年の収入と税の通知表。四つの欄を順に読めば、数字のつながりが見える。

この章の要点
  • 支払金額は、その年に支払の確定した給与・賞与の総額。手取りではない。
  • 所得控除の額の合計額は、年末調整をした人の票だけに書かれる。
  • 源泉徴収税額は、年末調整後の所得税及び復興特別所得税の合計。

先に結論

源泉徴収票は、その年に払われた給与と、そこから差し引かれた税の合計を書いた書類です。四つの欄を順に読むと、数字のつながりが分かります。

欄は、欄の名前で読みます。

四つの欄

以下は、国税庁の「令和7年分 法定調書の作成と提出の手引」の記載にもとづきます。

欄の名前書かれているもの
支払金額その年に支払の確定した給与・賞与の総額
給与所得控除後の金額給与所得控除額の表で求めた控除後の金額。所得金額調整控除があれば、それを引いた後の額
所得控除の額の合計額年末調整をした人の票だけに記載。社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除などの合計
源泉徴収税額年末調整後の所得税及び復興特別所得税の合計。年末調整をしない給与のみの場合は、その年に源泉徴収すべき税額の合計

支払金額は、手取りではない

支払金額は、その年に支払の確定した給与・賞与の総額です。そこから税金や社会保険料が差し引かれた額が、手取りになります。明細の額面の年間合計と照らすと、読み違えを防げます。

注意この章は、令和7年分の手引による説明です。令和8年分では様式や欄が変わる可能性があるため、お手元の票の欄の名前と照らして読んでください。

所得控除の額の合計額

この欄には、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寡婦、障害者、ひとり親、勤労学生、配偶者、配偶者特別、扶養、災害損失、基礎の各控除が含まれます。配偶者控除と配偶者特別控除は、重複しません。

内訳を見るときは、年末調整で申告した控除が入っているかを確かめます。内訳は、摘要欄などで見られます。

源泉徴収税額

源泉徴収税額は、年末調整後の所得税及び復興特別所得税の合計です。毎月の給与から引かれた税金は、年末調整で本来の税額と合わせられます。その結果が、この欄に書かれます。

年末調整をしていない給与だけの票では、その年に源泉徴収すべき税額の合計が書かれます。

読むときに確かめること

  • 支払金額が、明細の年間の額面合計と大きくずれていないか
  • 欄の名前で探したか
  • 所得控除の額の合計額に、申告した控除が入っているか
  • 前職がある年は、前職分を含めて年末調整されたか(勤め先に確かめる)

この章は見方の説明で、税額の計算や確定申告が必要かどうかの判断は扱いません。不明な欄は、勤め先の総務担当か、税務署の窓口で確かめてください。

体験談や口コミではなく、法令などの公開情報と一般的な進め方をもとに書いています。サービスの内容は変わることがあるので、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。

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