その時給は、線の上?
地域別最低賃金と特定最低賃金、月給・日給を時給にする計算、確かめ方と相談先。
最低賃金は、いくら? 誰に適用される?
最低賃金は都道府県ごとに決まり、働き方や呼び名に関係なく、その県で働く人に適用されます。
- 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に、最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。下回る契約の部分は無効となり、最低賃金と同じ定めがあったものとみなされる(最低賃金法第4条)。
- 地域別最低賃金は都道府県ごとに1つ決められ、産業や職種にかかわらず、その県の事業場で働くすべての労働者と使用者に適用される。パート、アルバイト、臨時、嘱託など、雇用形態や呼称に関係ない。
- 令和8年度の金額には発効日があり、県によって令和8年10月1日から12月2日までにわたる。発効日の前は、前の年度の金額が現行となる。
先に結論
最低賃金は、都道府県ごとに1つ決められています。基準になるのは、働く人の事業場がある県の金額です。住んでいる県ではなく、働いている場所で見ます。
パート、アルバイト、臨時、嘱託など、雇用形態や呼び方は関係ありません。その県で働く労働者には、同じように適用されます。
金額は「令和8年度」と発効日を添えて読むことが必要です。
誰に適用されるか
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者と、その使用者に適用されます。最低賃金法は、使用者に、最低賃金額以上の賃金を支払う義務があると定めています。
最低賃金を下回る賃金を定めた労働契約の部分は無効です。無効になった部分には、最低賃金と同じ定めがあったものとみなされます。支払いの義務に反した者には、50万円以下の罰金が定められています。
派遣で働く人には、派遣元ではなく派遣先の県の最低賃金が適用されると、厚生労働省の特設サイトは案内しています。
令和8年度の金額の例
次の表は、令和8年度の地域別最低賃金の例です。全47都道府県の一覧ではありません。全部の金額は、厚生労働省の全国一覧で確かめてください。
| 都道府県 | 令和8年度の金額(括弧内は改定前) | 発効日 |
|---|---|---|
| 東京 | 1,280円(1,226円) | 令和8年10月1日 |
| 大阪 | 1,231円(1,177円) | 令和8年10月1日 |
| 福岡 | 1,114円(1,057円) | 令和8年10月4日 |
| 沖縄 | 1,086円(1,023円) | 令和8年12月2日から |
沖縄の1,086円は、令和8年12月2日からの金額です。2026年10月14日の時点では、まだ発効していないため、改定前の1,023円が現行です。
京都は令和8年11月16日から、熊本と岩手は令和8年12月1日から改定されます。このように、まだ発効していない県もあります。
「いまの最低賃金」と書くときは、県と発効日をセットにしてください。発効前の県で新しい金額を現在の金額として使うと、取り違えになります。
発効日と、確かめる順番
金額を確かめるときは、まず勤務先の事業場がある県を決めます。次に、その県の発効日を見ます。発効日を過ぎていれば、表の令和8年度の金額が現行です。過ぎていなければ、改定前の金額が現行です。
金額の一覧と発効日は、厚生労働省の全国一覧(PDF)で確かめられます。
- 勤務先の事業場がある都道府県の金額か(住所ではなく、働く場所の県)
- 発効日を過ぎているか。過ぎるまでは改定前の金額が現行
- 金額は令和8年度の全国一覧で確かめたか
- 時給に直して比べるときは、次の章の換算の方法で確かめる
この本は仕組みの説明です。個別の賃金が法律に合っているかは、都道府県労働局か、最寄りの労働基準監督署の窓口で確かめてください。
月給や日給は、時給にするとどうなる?
最低賃金は時間単位の金額です。日給、週給、月給は、決まった式で時間額に直してから比べます。
- 日給は日額を1日の所定労働時間数で、週給は週額を週の所定労働時間数で、月給は月額を月の所定労働時間数で割って、時間額に直す(最低賃金法施行規則第2条)。
- 所定労働時間が日や週や月によって違うときは、日給は1週間における1日平均、週給は4週間における1週平均、月給は1年間における1か月平均の所定労働時間数を使う。
- 臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金(割増部分)は、比べるときに入れない(施行規則第1条)。
先に結論
最低賃金は、1時間あたりの金額で決まっています。月給や日給で働く人は、決まった式で時間額に直してから、最低賃金と比べます。
換算で割る数は、所定労働時間です。所定労働時間とは、契約で決められた働く時間のことです。残業代や賞与は、比べるときには外します。
月給は「月額 ÷ 月の所定労働時間数」で時間額にします。
日給・週給・月給の式
日給は、日額を1日の所定労働時間数で割ります。週給は、週額を週の所定労働時間数で割ります。月給は、月額を月の所定労働時間数で割ります。どれも、割った結果が時間額です。
所定労働時間が日や週や月によって違うときは、平均の時間数を使います。日給は1週間の1日平均、週給は4週間の1週平均、月給は1年間の1か月平均です。月ごとに所定労働時間が違う勤め方では、この平均で割ることになります。
時間額 = 月額 ÷ 月の所定労働時間数。数字を当てはめるときは、契約書や労働条件通知書に書かれた所定労働時間を使ってください。ここでは、実際の金額の例は載せません。
比べるときに入れないもの
臨時に支払われる賃金と、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は、比べるときに入れません。
時間外、休日、深夜の労働に払われる割増賃金も、比べるときには入れません。深夜労働については、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分が対象です。深夜の時間帯は、原則として午後10時から午前5時までです。
厚生労働省の特設サイトは、残業代やボーナスなどは対象外で、毎月支払われる基本的な賃金を時間額に換算して比べると案内しています。
年俸制などの場合
時間・日・週・月以外の一定期間で決められた賃金は、同じ考え方に準じて時間額に直すと、施行規則に定められています。具体的な式は、法令のページで確かめてください。
この本は、換算の考え方と式の説明です。手当の中身や固定の残業代が、どこまで比べる金額に入るかは、ここでは判断しません。迷うときは、窓口に相談してください。
- 契約書・労働条件通知書で、所定労働時間が1日・週・月で何時間か
- 月によって所定労働時間が違うなら、1年間の1か月平均で割る
- 給与明細の項目のうち、毎月支払われる基本の賃金はどれか。残業代、賞与、臨時の手当は分けて外す
- 比べる金額の県は、勤務先の事業場がある県か
計算の結果に迷うときは、都道府県労働局か、最寄りの労働基準監督署の窓口で確かめてください。
特定最低賃金って何? 確かめ方と相談先は?
都道府県の最低賃金とは別に、特定の産業にだけ定められた最低賃金があります。両方が当てはまるときは、高いほうが基準です。
- 特定最低賃金は、特定の事業や職業について、関係する労使の申し出などに基づき、地域別最低賃金より金額の水準を高くする必要があると認められた産業に定められる。基幹的労働者とその使用者に適用される。
- 2つ以上の最低賃金が当てはまるときは、最低賃金額のうち最高のものが基準になる(最低賃金法第6条)。
- 最低賃金の問い合わせ先は、各都道府県労働局か、最寄りの労働基準監督署である。
先に結論
最低賃金には、都道府県ごとの「地域別最低賃金」と、特定の産業にだけ定められた「特定最低賃金」があります。両方が当てはまるときは、高いほうの金額が基準になります。
特定最低賃金の金額や発効日は、産業ごとに確かめる必要があります。ここでは、仕組みと確かめる場所、相談先を説明します。
両方が当てはまるときは、最高額が基準になります。
特定最低賃金とは
特定最低賃金は、特定の事業や職業について定められる最低賃金です。関係する労使が申し出て、地域別最低賃金より金額の水準を高くする必要があると認められた産業に設定されます。
適用されるのは、その産業の基幹的労働者と、その使用者です。適用の範囲は産業ごとに違います。厚生労働省の特設サイトでは、「最低賃金適用額早見表」で適用の範囲を確かめる案内があります。
厚生労働省のページによると、令和8年4月1日現在で、特定最低賃金は223件です。令和7年度には112件が改定されています。
特設サイトは、18歳未満または65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方、その産業に特有の軽易な業務に従事する方を、適用の対象外として挙げています。
地域別と特定、どちらで比べるか
2つ以上の最低賃金が当てはまるときは、その中で最も高い額が基準になります。最低賃金法は、最低賃金額のうち最高のものを使うと定めています。
特定最低賃金の中には、地域別最低賃金を下回る金額のものもあります。そのため、特定最低賃金が地域別より常に高いとは限りません。当てはまるものを両方確かめ、高いほうで比べます。
件数や改定の年度は、厚生労働省のページの時点の数字です。令和8年4月1日現在、令和7年度と、それぞれの時点を添えて読んでください。金額と発効日は、産業ごとの一覧で確かめてください。
確かめる場所と相談先
最低賃金特設サイトでは、都道府県を選んで最低賃金を調べられます。全国一覧、特定(産業別)最低賃金の全国一覧、過去5年間の賃金推移などのページがあります。
勤務先の業種に特定最低賃金があるかは、特定(産業別)最低賃金の全国一覧で、産業名と金額を見て確かめます。
おかしいと思ったときは、まず契約書、給与明細、就業規則など、賃金の根拠になる書類を手元に置きます。そのうえで、都道府県労働局か、最寄りの労働基準監督署の窓口に相談します。窓口の場所は、厚生労働省の労働局・労働基準監督署の連絡先ページで探せます。
- 勤務先の業種に、特定最低賃金があるか(産業別の全国一覧で確かめる)
- 自分が対象になるか。18歳未満・65歳以上、技能習得中などは対象外
- 発効日を過ぎているか。産業ごとの一覧で確かめる
- 地域別と特定の両方が当てはまるとき、高いほうで比べたか
- 契約書や給与明細など、賃金の根拠になる書類を手元に残したか
この本は仕組みの説明です。個別の賃金が法律に合っているかは、窓口で確かめてください。
体験談や口コミではなく、法令などの公開情報と一般的な進め方をもとに書いています。サービスの内容は変わることがあるので、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。