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社会保険の本

保険証の、裏側

会社の健康保険・厚生年金に入る人、従業員数による適用拡大、入ると変わること。

第1章

会社の社会保険に、入るのはどんな人?

加入するかどうかは、働き方の名前ではなく、勤め先の種類と、決まっている労働時間・日数で決まります。基本の決まりを並べます。

この章の要点
  • 厚生年金の適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人は、国籍・性別・年金受給の有無を問わず被保険者になる。試用期間中でも報酬が支払われれば対象。
  • パート等は、同じ事業所の通常の労働者と比べ、週の所定労働時間と月の所定労働日数の両方が4分の3以上なら被保険者になる。
  • 日々雇い入れられる人や期間を定めて使用される人などは、期間を超えて使われる見込みなどの例外を除き、被保険者にならない。

先に結論

厚生年金保険の適用事業所に、常用的に使用される70歳未満の人は、被保険者になります。国籍、性別、年金を受けているかどうかは問われません。試用期間中でも、報酬が支払われていれば対象です。

勤め先が適用事業所か

法人の事業所は、事業主だけの場合も含めて対象になります。個人事業所は、常時5人以上を使用するものが対象で、農林漁業やサービス業などは対象外です。令和4年10月からは、法律・会計の士業の個人事業所も対象になりました。

パート・アルバイトの場合は4分の3基準

パートやアルバイトでも、同じ事業所で同様の業務に従事する通常の労働者と比べて、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数の両方が4分の3以上であれば、被保険者になります。

たとえば、通常の労働者が週40時間・月20日働く職場では、週30時間以上かつ月15日以上が目安になります。この4分の3基準は、平成28年10月1日から明確化されました。それ以前から被保険者だった人は、同じ事業所で引き続き雇用されている間は、被保険者のままです。

入らない例外がある

日々雇い入れられる人や、2か月以内の期間を定めて使用される人などは、原則として被保険者になりません。ただし、次の場合は、そこから被保険者になります。

  • 日々雇い入れられる人: 1か月を超えて引き続き使用されたとき、その日から
  • 2か月以内の期間を定めて使用される人: 期間を超えて雇用される見込みがあるとき、契約の当初から
  • 季節的業務(4か月以内): 4か月を超える予定のとき、当初から
  • 臨時的事業(6か月以内): 6か月を超える予定のとき、当初から

加入の手続きは、事業主が行います。

  • 雇用契約書・労働条件通知書の「所定労働時間」「所定労働日数」(実際に働いた時間ではなく、決められた時間)
  • 同じ職場の通常の労働者(正社員)の所定労働時間・日数
  • 契約期間が2か月以内か。更新や延長の見込みはあるか
  • 勤め先が適用事業所か(法人か、個人事業所なら従業員数と業種)
注意

「何時間働けば入れる」と、個別に判定することはできません。通常の労働者の基準は職場ごとに違います。「2か月以内」の細かい数え方は、日本年金機構の質疑応答集に委ねられており、この本では確認していません。個別の契約は、勤め先か年金事務所で確かめてください。

第2章

短い時間で働く人も、入るのはどんなとき?

4分の3に届かない短い働き方でも、勤め先の規模などの条件がそろうと加入の対象になります。その条件と、日付つきの変更を並べます。

この章の要点
  • 短時間労働者は、特定適用事業所などの勤め先で、週の所定労働時間が20時間以上、学生でないなどの条件で加入対象になる。
  • 賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上)は、令和8年(2026年)10月1日に撤廃された。
  • 企業規模の要件は段階的に下がり、令和17年(2035年)10月1日に撤廃される予定。個人事業所の業種要件は令和11年(2029年)10月に撤廃される予定。

先に結論

短時間労働者は、勤め先が特定適用事業所などの場合、週の所定労働時間が20時間以上で、学生でなければ加入の対象になります。2026年(令和8年)10月1日からは、所定内賃金が月額8万8千円以上という賃金要件もなくなりました。

特定適用事業所とは

特定適用事業所は、1年のうち6か月以上、厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上になると見込まれる企業などです。数えるときは、短時間労働者を除き、共済組合員は含みます。

法人は、同じ法人番号の全適用事業所の被保険者数を合計して数えます。個人事業所は、適用事業所ごとに数えます。

人数の基準は段階的に下がる

人数の基準は、段階的に下がる予定です。日本年金機構のページでは、次のように示されています。

時期被保険者の人数
令和9年9月まで51人以上
令和9年10月から36人以上
令和11年10月から21人以上
令和14年10月から11人以上

厚生労働省のページでは、企業規模の要件は2035年(令和17年)10月1日に撤廃される予定とされています。個人事業所の業種要件は、2029年(令和11年)10月1日に撤廃される予定です。

国に属する事業所は2016年(平成28年)10月から、地方公共団体に属する事業所は2017年(平成29年)4月から、被保険者の数にかかわらず対象です。

保険料調整制度(2026年10月から)

2026年(令和8年)10月から、保険料調整制度が始まりました。短時間労働者として加入する人のうち、標準報酬月額が12万6千円以下の人が対象です。事業主の負担が増えた分を調整する仕組みで、通算3年間とされています。

機構のページでは、この制度は被保険者の将来の年金額には影響しないと書かれています。対象となる事業所の範囲は、機構の別ページで確かめてください。

週20時間未満は、原則として対象外

週20時間未満の人は、原則として対象外です。ただし、残業などで一時的に週20時間以上になっても、その状態が2か月を超えて続くと、対象となることがあります。

  • 勤め先が特定適用事業所か(会社から通知されることがあります)
  • 契約上の週の所定労働時間が20時間以上か
  • 学生か(学生の範囲は、年金事務所で確かめてください)
  • 契約が2か月を超える見込みか
注意

「従業員数」は、社員の数とは限りません。数えるのは厚生年金の被保険者で、短時間労働者は除きます。同じ法人番号の事業所は合算します。最低賃金法の減額特例の許可を受けている人は、原則として対象外で、申し出により加入できる場合があります。年収の壁の話は、この本では扱いません。

第3章

入ると、何が変わる?

給料から引かれるものと、受け取れるものが変わります。保険料率と給付の種類を、公式ページの数字で並べます。

この章の要点
  • 厚生年金保険料率は18.3%で、平成29年9月の引き上げを最後に固定。事業主と被保険者が半分ずつ負担する。
  • 協会けんぽの健康保険料率は令和8年度から都道府県ごとに異なる。介護保険料率(40〜64歳)は全国一律1.62%、子ども・子育て支援金は全国一律0.23%。
  • 傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けない被保険者本人が対象。支給は通算1年6か月まで。

先に結論

厚生年金保険料率は18.3%です。事業主と被保険者が半分ずつ負担します。協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なり、令和8年度の料率が公式ページに載っています。

厚生年金の保険料

毎月の保険料は、標準報酬月額に18.3%を掛けた額です。賞与の保険料は、標準賞与額に18.3%を掛けた額です。平成16年から段階的に引き上げられ、平成29年9月の引き上げを最後に固定されています。

標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)まであります。基本給に加えて、通勤手当などの手当や現物給与も含めて決まります。標準賞与額は、税引き前の賞与額の1,000円未満を切り捨てた額で、1回の支給につき上限は150万円です。

健康保険料と、介護・子育て支援の負担

協会けんぽの健康保険料率は、令和8年3月分(4月納付分)から改定され、都道府県ごとに異なります。最も高いのは佐賀県の10.55%、最も低いのは新潟県の9.21%です(協会けんぽ令和8年度の記載)。

40歳から64歳の人には、全国一律の介護保険料率1.62%もかかります。子ども・子育て支援金は、令和8年4月分(5月納付分)から全国一律0.23%です。

受け取れるものが増える

厚生年金に加入すると、国民年金(基礎年金)に上乗せして、厚生年金の給付を受けられる仕組みになっています。年金に加入する仕組みの詳しい内容は、日本年金機構のページで確かめてください。

病気やケガで休んだとき

協会けんぽの傷病手当金は、業務外の病気やケガで療養中に、従来の業務ができず、給与が支払われない被保険者本人が対象です。連続する3日間(待期期間)の後の4日目から支給されます。

1日あたりの額は、支給開始日前12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、さらに3分の2を掛けた額です。支給期間は、支給開始日から通算1年6か月です。

基準額の注記

支給開始日以前の加入期間が12か月に満たない場合の基準額は、令和7年3月31日以前は30万円、令和7年4月1日以降は32万円とされています。

  • 給与明細の「健康保険料」「厚生年金保険料」(40歳以上は「介護保険料」)の欄
  • 勤め先の健康保険が協会けんぽか、健康保険組合か(料率は、それぞれの公式ページで確かめる)
  • 標準報酬月額が何等級か(会社の届出や通知で確かめる)
  • 病気や出産で休むとき、会社や保険者に手当金の申請方法を確かめる
注意

手取りが何円変わる、といった個人の試算は、この本では扱いません。標準報酬月額や料率は、人や健康保険の種類によって違います。健康保険組合や共済組合の料率も、ここでは扱っていません。料率は年度が変わると変わるため、令和8年度のものとして読んでください。

体験談や口コミではなく、法令などの公開情報と一般的な進め方をもとに書いています。サービスの内容は変わることがあるので、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。

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