中学生(中1〜中3)
学校に通うのが不安なら
行きにくい朝が続いたとき、誰に何を言えばいいのか。相談先と、学びの場の選び直しを順番に並べ、お子さんのケアと、あなた自身が息をつける言葉も一緒に置きました。

行きにくい理由は、お子さん自身にも分からないことがあります。理由を先に探さなくて大丈夫です。順番は、①学校に知らせる ②学校の中で相談する ③学校の外の窓口に相談する ④学びの場を選び直す。どこから始めても、飛ばしても構いません。お子さんも、親も、不安でいっぱいのはずです。焦らずまいりましょう。
ひとつずつ、順番に
- 1
まず、学校に知らせる
行きにくい朝が続いたら
無理に押さなくて大丈夫です。「今日は休みます」と伝えるところから。理由は、まだ言えなくて構いません。
担任休む連絡と、朝に起きていること(体調・言葉・様子)を、そのまま伝えてみてください。
連絡帳・電話・欠席連絡アプリ。学校が状況を知っている、というのが最初の一歩です。家で体の症状(腹痛・頭痛・眠れない)が続くなら、小児科へ。
体の不調は先に診てもらいましょう。心の話は、後からで大丈夫です。 - 2
学校の中で相談する
つぎに
学校には、担任のほかにも相談できる人がいます。保護者だけで話しに行っても大丈夫です。
スクールカウンセラー(SC)学校に来る心理の専門職です。お子さんが行けなくても、保護者だけの相談ができます。
担任に「SCと話したいのですが」と言えば、日程を組んでもらえます。来る曜日は学校で決まっています。スクールソーシャルワーカー(SSW)家庭・福祉・医療と学校をつなぐ役です。生活の側の困りごとも、一緒に考えてくれます。
学校にいないときは、市区町村の教育委員会を通してお願いできます。養護教諭(保健室)保健室登校という形があります。教室に入らずに学校にいる、という過ごし方です。体の話から入れます。
時間を短く、週の回数を少なく、から。学校と相談して決めていけます。校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)教室とは別に、学校の中に置かれた落ち着いた部屋です。ここで学習したり過ごしたりできます。国が設置を進めています(COCOLOプラン)。
名前は学校で違います(「○○ルーム」など)。無い学校もあります。担任か教頭先生に「別室で過ごせる場所はありますか」と聞いてみてください。 - 3
学校の外の窓口に相談する
学校に言いにくいとき、学校だけでは進まないとき
公的な窓口は無料で、名前を言わなくてもよいものがあります。お子さん本人がかけられる番号と、保護者がかける番号があります。
教育支援センター(旧・適応指導教室)市区町村の教育委員会が置いている、学校の外の学びと相談の場です。通うこともできます。昔「適応指導教室」と呼ばれていた場所が、いまはこの名前になっています。
自治体ごとに愛称があります(「○○教室」「○○ルーム」など)。窓口は市区町村の教育委員会です。国はここを、フリースクールやNPOと連携する拠点として広げようとしています(COCOLOプラン)。小児科・児童精神科腹痛・頭痛・眠れないが続くときは、先に体を診てもらってください。心の相談は、かかりつけの先生から紹介してもらえることが多いようです。
自治体の子ども家庭の相談窓口(名称は自治体で違います)も、入口になります。 - 4
進路は閉じません
中学生なら
出席日数が少なくても、その先の道はあります。中3になったら早めに、担任の先生と進路の話をしてみてください。
通信制・定時制の高校通学の回数や時間帯が違う高校です。全日制だけが高校ではありません。
学校説明会は、中3になる前からでも行けます。高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)高校を卒業していなくても、大学や専門学校の受験資格などを得られる試験です。
文部科学省が実施しています。詳細は公式ページで。担任・進路指導「行っていない期間があっても、進路の相談はできますか」と聞いてみてください。学校側も、同じ前提で動いてくれます。
そのうち、気になりだすかもしれないこと
行けない日が続くと、だいたいこの順で、いくつかのことが気になりだすと思います。ここでは、気になったときに学校へ聞いてみる言葉を、ひとつずつ用意しておきました。
進級や卒業のこと
小学校・中学校では、進級や卒業をどう認めるかは、校長先生がお子さんの状況をふまえて判断することになっています。行けない期間があるからといって、すぐに決まってしまうものではありません。
気になったら、担任の先生に
「うちの子の進級や卒業は、いまの状況だとどういう扱いになりますか」
先生は、この質問に慣れています。
出席日数のこと
出席として数えられる日は、思っているより広いようです。保健室や別室で過ごした日、遅刻して行けた日、早退した日も出席になります。学校の外(教育支援センター・フリースクール・家でのタブレット学習)で学んだ日も、学校がその様子を知っていれば出席として数えられる仕組みがあります(文部科学省の通知)。
「こういう日は、出席としてどう数えられますか」
学校のほうから形を提案してくれることもあります。数字を増やすために、お子さんを押さなくて大丈夫です。
勉強の遅れのこと
学びは、教室の中だけで起きるものではありません。家のドリルやタブレット教材、教育支援センター、フリースクール、オンライン。戻るときに一段戻れる教材があれば、遅れは「取り戻すもの」ではなく「そこから始めるもの」になります。
いま学べる量は、体と気持ちの余裕で決まります。量より、学べた日があること。それで十分です。
「不登校」と呼ばれること
国の統計では、年間30日以上の欠席(病気や経済的な理由を除く)を「不登校」として数えています。これは支援を届けるための区切りで、お子さんや家庭への評価ではありません。この線を越えると、学校は支援の記録を作り、教育支援センターなどの案内が始まることが多いようです。
呼び名を怖がらなくて大丈夫です。線を越えたほうが、動きだす支援もあります。
高校のこと
中学から高校へ送る調査書には出欠が載ります。ただ、その扱いは都道府県や高校で違い、事情を伝える仕組みを持つ地域もあります。通信制や定時制の高校、高卒認定という道もあります。行けない期間があっても、道は残っています。
中3になったら、進路の先生に
「うちの県では、調査書の出欠はどう扱われますか。事情を伝える方法はありますか」
答えは学校が持っています。
自分の関わりのこと
行きにくくなる理由はひとつではなく、お子さん自身にも分からないことが多いようです。学校、友だち、体、感覚、生活のリズム。いくつかが重なって起きます。原因を探すことは、お子さんを責める形にも、親御さんを責める形にもなりやすいものです。
相談先は、お子さんのためだけでなく、親のためにもあります。スクールカウンセラーには、保護者だけで話しに行けます。
「私だけで相談したいのですが」
と、担任の先生に言ってみてください。
何を見ていればいいか
行った日の数より、眠れているか、食べているか、笑う場面があるか。そして「学校とつながった日」——担任の先生と話した、別室に行けた、家で学習の記録をつけた——を、数えてみてください。
出席日数は、安心のための数字でいいと思います。ただ、増やすためにお子さんを押す数字にはしないでください。焦らずまいりましょう。
お子さんと過ごす日に
家で過ごす日が続くと、何をさせればいいのかが気になります。でも、まず整えるのは「させること」ではなく、体と、時間と、場所のほうです。作業療法の考え方でいうと、環境を整えて、本人の活動が自然に起きるのを待つ、ということになります。
朝と眠り
起きる時間だけは、ゆるく決めておきます。カーテンを開けて光を入れる。「行く・行かない」の話は、起きてからで大丈夫です。夜、眠れているかを、いちばん大事に見てください。
朝が崩れると、一日が崩れます。逆に、朝だけ整えば、あとは崩れていても大丈夫な日が多いようです。体を動かす時間
学校がない日ほど、体が動きません。散歩、買い物の荷物持ち、公園、自転車。短くて構いません。体が動いた日は、夜が来ます。
「運動しなさい」ではなく、用事に混ぜるのがコツです。牛乳を買いに行く、犬を散歩させる。手を動かす時間
料理、工作、絵、ブロック、プラモデル、編み物。手を使っている時間は、頭が休んでいる時間です。出来ばえは評価しなくて大丈夫です。
できれば、親も横で自分の手作業をしてください。並んで、別々のことをする時間が、いちばん話が出やすいです。感覚の負担を減らす
音・光・においが強い場所は、それだけで疲れます。家の中に「静かな一角」をひとつ作ってみてください。触られるのが苦手なお子さんには、声をかけてから触る。服のタグや靴下の縫い目のような小さな不快も、積み重なると大きいです。
学校がつらい理由のいくつかは、教室の音や光、人との距離のような「感覚の負担」であることがあります。家で楽になる条件が見つかると、学校に伝える材料になります。学校の話をしない時間
一日のなかに、「学校」という言葉が出ない時間を作ってみてください。夕食では学校の話をしない、と決めてもいいと思います。
話したくなったら、お子さんのほうから出てきます。そのときは、聞くだけで大丈夫です。家の中の役割をひとつ
「これはあなたの仕事」を、ひとつだけ。洗濯物をたたむ、お風呂を洗う、植物に水をやる。役割は、居場所になります。
できたかどうかを毎日確認しなくて大丈夫です。役割が「ある」ことが大事で、「できた」ことではありません。学校以外の人とのつながり
学童、習い事、親戚、近所の人、オンラインのゲーム仲間。学校以外に「人」がいることを、なくさないでください。
習い事は、学校とは別の居場所になります。少人数・個人レッスン・体験のある教室から。そして、あなたのこと
自分のことは後でいい、いまはこの子のことを——そう思っている方がほとんどだと思います。それでいいのです。ここは、何かをしてくださいという節ではありません。お子さんのことを考え続けているあなたが、少しだけ息をつける言葉を置いておきます。
自分のことは後でいい、と思っていること
それが自然だと思います。お子さんのことで頭がいっぱいなのは、それだけお子さんを見ている、ということです。ただ、考え続けている頭は、少し休むと、同じことが違って見えることがあります。
休むために何かをする必要はありません。「いま自分は休んでいないな」と気づくだけで、ひとつ進んでいます。誰かに話すこと
話す相手は、答えをくれる人でなくて構いません。聞いてくれる人がいるだけで、頭の中の言葉が少し整理されます。学校の中にも外にも、親の話を聞くための人がいます。
「私だけで話したいのですが」と言って大丈夫です。スクールカウンセラーは、そのために保護者の時間を持っています。朝のこと
毎朝、行く・行かないで向き合っていると、一日の力を朝で使い切ってしまいます。前の晩に「明日はこうしよう」と決めておく、という方法もあります。決めたことと違う朝になっても、それは失敗ではありません。
朝が少し軽くなるだけで、昼と夜が変わります。仕事のこと
職場にどこまで話すか、急な朝にどうするか。先に少しだけ考えておくと、その朝に慌てずにすみます。
言い方は「子どもの体調のことで、しばらく朝が読めなくて」で足ります。少しだけ、考える時間
短くて構いません。お茶を一杯飲む間、外の空気を吸う間。その時間に何かを決める必要はありません。少し考える時間があると、次のひとつが楽に見えてくることがあります。
お子さんが家にいると、取りにくい時間です。だから、取れた日は、それだけで十分です。きょうだいのこと
目が向いていない、と感じているかもしれません。「あなたのことも見ているよ」と言葉にするだけで、伝わることがあります。
短い時間で構いません。疲れがとれないとき
眠れない、食べられないが続くときは、それはもう「がんばりが足りない」という話ではなく、体の話です。親のための相談先があります。精神保健福祉センター(都道府県・政令市の、大人のこころの相談窓口)、かかりつけの先生、市区町村の子ども家庭の窓口。
「子どもの相談」の窓口で「親の私も疲れています」と言って大丈夫です。窓口は、そのために開いています。「いつまで」を決めないこと
いつまで続くのかは、誰にも分かりません。分からないままでいい、と決めておくと、少し楽になります。見通しは、学校や相談先と一緒に、その都度立て直せます。
焦らずまいりましょう。頼れる人たち
学校は「チーム」で動くことになっています(先生・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・養護教諭などの連携。COCOLOプラン)。誰が何をする人かを知っておくと、「誰に、何を」が言いやすくなります。学校の中の人と、専門の目でお子さんを見る人(学校の外にいることが多い)に分けました。
学校の中の人
担任
毎日の窓口です。休みの連絡、様子の共有、ほかの人につなぐ入口。
養護教諭(保健室の先生)
体と心の両方を見てくれます。保健室登校の受け皿です。
スクールカウンセラー(SC)
心理の専門職(公認心理師・臨床心理士など)です。本人・保護者の相談と、先生への助言。
スクールソーシャルワーカー(SSW)
福祉の専門職(社会福祉士・精神保健福祉士など)です。家庭・福祉・医療と学校をつなぎます。
特別支援教育コーディネーター
各学校に置かれている先生です。発達や学習の困りごとの校内窓口で、外部の機関との連携役。
生徒指導主事・教育相談担当
学校の中の相談体制をまとめる先生です。別室や登校の形を、学校として決める側。
校内教育支援センターの担当
別室(スペシャルサポートルームなど)を運営する先生・支援員です。
教育委員会(指導主事・教育相談員)
学校の外、自治体側の窓口です。教育支援センター・転校・学びの多様化学校の手続きは、ここです。
通級指導教室の担当教員(ことばの教室・LD等通級)
在籍校に通いながら、決まった時間だけ別の教室で個別・小集団の指導を受ける仕組みです。担当は先生。
教育支援センターの相談員・指導員
通う場の職員です。学習と相談、学校とのやり取り。
専門の目で見る人
資格を持ち、それぞれの面からお子さんを見てくれる人たちです。学校の外(病院・自治体・児童発達支援)にいることが多く、入口はかかりつけの先生と、自治体の発達相談です。
臨床心理士・公認心理師
心理の専門職です。心理面接と、発達検査(知能や認知の得意不得意を見る検査)。スクールカウンセラーもこの資格の方が多いです。
作業療法士(OT)
動き・感覚(触覚・揺れ・力加減)・手先・生活の動作(着替え・食事・書く)と、環境の側から見るリハビリの専門職です。学校に常駐することはまれで、自治体の巡回相談や特別支援の外部専門家、児童発達支援・放課後等デイサービス、病院のリハビリを通して関わります。
言語聴覚士(ST)
ことば・聞こえ・読み書き・食べることの専門職です。
理学療法士(PT)
体の大きな動き・歩く・走る・姿勢の専門職です。
児童精神科医・小児科医(発達外来)
診断と治療をする先生です。受給者証や支援の根拠になる意見書・診断書も書いてくれます。
児童発達支援・放課後等デイサービスの担当(児童発達支援管理責任者)
受給者証で通う場の責任者です。個別支援計画を作り、OT・ST・心理職がいる事業所もあります。
学ぶ場所は、ひとつではありません
学校に戻ることだけが出口ではありません。学ぶ場所は複数あり、在籍したまま使えるものが多いようです。学校の外で学んだ日をどう数えるかは在籍校の校長先生の判断で、学校が学習の様子を知っていることが要ります(文部科学省の通知)。使いたい場所が見えてきたら、担任の先生に「こういう場所を考えています」と伝えて、一緒に形を決めていけます。
教育支援センターに通う
教育委員会が置いている場です(旧・適応指導教室)。学習と相談があり、同じ状況のお子さんがいます。学校と連携しています。
- 費用
- 公的(基本無料)
- 出席
- 在籍校との連携のもとで、出席として数えられることがあります
フリースクール(民間)
民間の学びと居場所です。方針・規模・雰囲気は施設ごとに大きく違います。見学と体験で「お子さんが居られる場所か」を見てみてください。
- 費用
- 月謝がかかります(額は施設で違います)
- 出席
- 学校が学習の様子を知っていれば、出席として数えられることがあります(通知 別記1)
家でICTを使って学ぶ
タブレット教材・オンライン教材で家で学びます。学校が学習の様子を確認できる形にしておきます。
- 費用
- 教材費(「いま学ぶなら」で比較しています)
- 出席
- 学校が学習の様子を知っていれば、出席として数えられることがあります(通知 別記2)
居場所と、続けること
学校とは別の居場所として、習い事が合うお子さんもいます。学びは、家でも続けられます。
焦らずまいりましょう。
出典: 文部科学省「不登校」 / 文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン)」 / 文部科学省 通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年10月25日) / 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」 / 法務省「こどもの人権110番」 / チャイルドライン